公認心理師国家試験に向けて:DSM-5の勉強は必要!

公認心理師試験勉強




そういえば、DSMって今は5の時代か~。

私は、研究の一環として病院でデータを取らせていただいてました。けど、臨床経験はほとんどないんですよね。
公認心理師試験では精神医学に関する知識が結構問われるようなので、勉強しなきゃなと思っているところです。

みなさんはどうでしょう?
そこで、DSMについても復習したいと思っています。

DSMに関する確認問題

突然ですが、みなさんに質問です!

精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)に関する次の記述は、正しいでしょうか?それとも誤りでしょうか?

問題
1.作成したのは世界保健機関(WHO)である。
2.精神障害を内因性、心因性という名称で分類している。
3.身体疾患の診断基準も掲載している。
4.多軸診断システムを用いている。
5.操作的診断基準によって診断する。
6.「広汎性発達障害」には、①自閉性障害、②アスペルガー障害、③レット障害、④小児期崩壊性障害、⑤特定不能の広汎性発達障害が含まれる。
7.「広汎性発達障害」の診断基準は、①対人相互交渉の質的障害、②コミュニケーションの障害、③興味・関心の限局化である。
8.「注意欠陥/多動性障害(ADHD)は行動障害に分類される。

正解は…
1.×
2.×
3.×
4.×
5.〇
6.×
7.×
8.×

いかがでしたか?
4,6,7,8を「〇」と答えた人はいませんか?

学生時代に精神医学をDSM-Ⅳ-TRで習った方は、4,6,7,8は正しいと答えたのではないでしょうか?!

しかし、2013年5月にDSM-5が刊行され、診断基準が従来のものと大きく変わりました

繰り返しになりますが、公認心理師では、精神医学を含む医学的知識が重要視されていますので、DSM-Ⅳ-TRとの違いなどもしっかりと抑えておく必要があると思います

DSMについての復習

さすがに、これくらいは知っていると思いますが、一応おさらい。

DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)とは、アメリカ精神医学会が刊行している操作的診断基準です。
1952年に初版(DSM-I)が作成されてから、以降数回にわたり改訂が重ねられています。
最新のものは2013年5月に刊行されたDSM-5です。第4版まではローマ数字が使われていましたが、第5版からはアラビア数字になっています。

ちなみに、ICDは世界保健機関(WHO)が作成しています。



DSM-5における主な変更点

多軸診断の廃止

DSM-5では、DSM-Ⅳで取り入れられた多軸診断が廃止されました。
それに代わり、ディメンション診断(多元的診断)が導入されています。ディメンション診断とは、各疾患やパーソナリティ障害のスペクトラムを想定し、発達障害などのレベル(重症度)をパーセントで表示するものです。
注)多軸診断が一切廃止されたというわけではなく、異なる枠組みでまとめられています。

広汎性発達障害から自閉症スペクトラムへの変更

DSM-Ⅳ-TRでは、先天的な脳の障害によって広範な領域に生じる発達上の障害を「広汎性発達障害(PDD)」という概念で表現し、その中に、①自閉性障害、②アスペルガー障害、③レット障害、④小児期崩壊性障害、⑤特定不能の広汎性発達障害という5つの下位分類がありました。

しかし、DSM-5では、広汎性発達障害という概念が廃止され、自閉症スペクトラム(ASD)という診断名が採用されました。
『スペクトラム』というのは、各発達障害を「連続体」として捉える概念です。

ちなみに、診断基準となる項目にも変更があります。
DSM-Ⅳ-TRでは、「広汎性発達障害」の診断基準は、①対人相互交渉、②コミュニケーションの障害、③興味・関心の限局化の3つでした。
しかしDSM-5では、①持続的に、社会的コミュニケーションと社会的相互作用がさまざまな状況で困難なこと、②限局された反復的な、行動、興味または活動の様式という2つの分類に変更になりました。
そして、この2つを満たしてはじめて「自閉症スペクトラム症」と診断されます。
①の基準のみを満たす場合は、 “社会コミュニケーション障害”という診断がつけられます。

精神遅滞から知的障害に名称変更

DSM-Ⅳ-TRでは、「精神遅滞」という名称でしたが、DSM-5では「知的障害(知的能力障害)」と呼び名が変更になりました。
下位分類としては、①知的障害、②全般的発達遅延、③特定不能の知的障害という3つが設定されています。

さらに、DSM-Ⅳ-TRでは知能指数(IQ)のみで判断されていましたが、DSM-5では、学力領域、社会性領域、生活自立能力領域に関して、具体的な状況から重症度の判定を行う形に変更されています。

注意/欠陥多動性障害から注意欠如/多動症(ADHD)に名称変更

DSM-Ⅳ-TRでは、「注意/欠陥多動性障害」は“注意欠如および破壊的行動障害”という分類の中に含まれていました。
しかし、DSM-5では自閉症スペクトラムなどと同じ“神経発達障害”に含まれることになりました。
また、「欠陥」→「欠如」と変更になりました。

発症年齢の引き上げ(7歳から12歳に)や、自閉症スペクトラム症との合併診断が可能になったなどの変更もあります。

他にも色々と…
DSM-5の学習は必要だと思います!

まとめ

2013年に刊行されたDSM-5の主な変更点について調べてみました。

DSM-Ⅳ-TRからの変更点が結構あります。
精神科領域で仕事をしていない方、特に学生時代にDSM-5を習っていない方はDSM-5には目を通し、DSM-Ⅳ-TRとの変更点などを復習することをおススメします!