公認心理師 模擬問題 #004|抗精神病薬増量後の発熱
出題分野|ブループリント「精神疾患とその治療」/ 関連:精神医学・薬理
想定解答時間|2分
問題
統合失調症で通院中の30代男性A。1週間前に抗精神病薬が増量された。本日デイケアに来所した際、体温38.6℃、多量の発汗がみられ、四肢の筋肉がこわばって動かしにくい様子であった。呼びかけへの反応が鈍く、ぼんやりしている。公認心理師Bが確認したところ、直近で感冒症状や下痢はなかった。
Bの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
1.抗精神病薬による錐体外路症状と考え、しばらく経過を観察する。
2.悪性症候群が疑われるため、直ちに主治医に連絡し、緊急受診につなげる。
3.感染症による発熱と考え、内科の受診を勧めて帰宅させる。
4.緊張病性昏迷が疑われるため、静かな環境で休息させる。
5.水中毒が疑われるため、水分摂取を制限する。
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正答:2
根拠|悪性症候群(neuroleptic malignant syndrome)の典型像
抗精神病薬の開始・増量の直後に、高熱・筋強剛・自律神経症状(発汗、頻脈、血圧変動)・意識障害が出現しています。致死的になりうるため、分単位・時間単位での医療接続が必要です。心理師の役割は診断ではなく、気づいて即座に医療につなぐことです。
誤答の理由
1|錐体外路症状として経過観察
筋強剛だけを見ると錐体外路症状に見えますが、発熱・発汗・意識障害は説明できません。「副作用だから様子を見る」という判断が最も危険で、本問の実質的な引っかけです。
3|感染症として帰宅
感染症は鑑別に挙がりますが、増量直後という経過と筋強剛の併存を説明できません。加えて帰宅させる時点で緊急性の判断を誤っています。
4|緊張病性昏迷
緊張病は悪性症候群と症状が重なり、臨床上も鑑別が難しい病態です。ただし、どちらであっても「休息させる」は誤りで、いずれも医療対応を要します。
5|水中毒
水中毒は多飲による低ナトリウム血症で、意識障害やけいれんは起こりますが、発熱・筋強剛は伴いません。本事例と症状が合致しません。
ひとこと補足
- 悪性症候群の4徴:高熱・筋強剛(鉛管様)・自律神経症状・意識障害。検査ではCK上昇、白血球増加
- 誘因は薬剤の開始・増量・急な変更のほか、抗パーキンソン病薬の急な中止でも起こる
- セロトニン症候群との違い:悪性症候群は数日かけて出現し筋強剛が主体。セロトニン症候群は24時間以内と急速で、ミオクローヌス・反射亢進・下痢が特徴
- 覚え方:「増やした直後の熱とこわばりは、まず悪性症候群」
