「あれ、どこに載ってた?」心理職のためのガイドライン・資料集|福祉・司法犯罪・産業労働編
前回の記事では、保健医療と教育の2分野をまとめました。今回はその続きで、福祉・司法犯罪・産業労働の3分野です。
この3分野は、医療や教育と比べて「どこに何が載っているか」が見つけにくい領域です。所管する省庁が分かれていたり、法律と手引きが別々に置かれていたりするためです。実際、公認心理師として働いていても、隣の分野の資料は知らないことが多いと思います。
今回も、公的機関が公開している資料を、リンク付きで一覧にしました。
リンク切れや最新版の確認など、少々てまどりました。思っている以上に動きがあるものですね…
使うときのコツ(前回のおさらい)

図:3分野の資料は、どこが出しているか
前回書いたことの繰り返しになりますが、大事なので3つだけ。
- 一次情報にあたる。 会議や報告書で引用するときは、必ず発出元のページを開く
- 改訂を確認する。 この3分野は法改正が多く、手引きもよく改訂されます
- 版と年月を控える。 「◯◯(令和◯年◯月版)」と書いておくと、あとで困りません
福祉の分野
ここでは、心理職が関わることの多い児童・障害・高齢の3領域を中心に見ていきます。それぞれ所管も資料も違います。
児童福祉
| 資料 | 出しているところ | どんなときに |
|---|---|---|
| 児童虐待に係る法令・指針等一覧 | こども家庭庁 | 児童相談所運営指針、こども虐待対応の手引きなどの入口。改正のたびに差し替えられます |
| ヤングケアラーについて | こども家庭庁 | 家族の世話をする子どもへの支援。学校との連携でも使います |
| ヤングケアラー特設サイト | こども家庭庁 | 本人・周囲向けの説明。相談先の案内にも |
| こども虐待対応の手引き | こども家庭庁(令和7年12月改正) | 虐待対応の基本原則と、特に留意が必要な事例への対応。令和7年12月改正版は、現時点ではこども家庭庁の審議会資料としてPDFで公開されています。 |
「こども虐待対応の手引き」は、令和7年12月に改正され、名称も「子ども虐待対応の手引き」から「こども虐待対応の手引き」に変わりました。内容も整理され、具体的な調査や一時保護などの手順は、児童相談所運営指針や一時保護ガイドラインなどとあわせて確認する構成になっています。
なお、現時点では、こども家庭庁の通常の案内ページから最新版への導線が十分に整っておらず、令和7年12月改正版は審議会資料のPDFとして公開されています。そのため、ここでは最新版のPDFに直接リンクしています。
障害福祉
| 資料 | 出しているところ | どんなときに |
|---|---|---|
| 障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(第2版) | 厚生労働省(令和8年9月) | 本人の意思をどう形にし、支えるか。改訂されたばかりです。同じページに事例集も |
| 障害者虐待防止|通知・関連資料等 | 厚生労働省 | 自治体向け・施設従事者向けの手引き(いずれも令和6年7月改訂)、研修用冊子、通報窓口一覧の入口 |
障害者虐待の手引きは、自治体向け・施設従事者向けともに令和6年7月に改訂されています。令和4年12月の精神保健福祉法改正により、令和6年4月から精神科病院の業務従事者による虐待が同法の通報対象になったことなどが反映されました。古いPDFが検索上位に残っているので、上のまとめページから入ってください。
意思決定支援ガイドラインは、令和8年9月に第2版が出たばかりです。国連障害者権利委員会の総括所見(令和4年10月)で「本人の最善の利益」という言い方に懸念が示されたことなどを受け、意思決定支援の構造そのものが整理し直されました。第1版(平成29年3月)を手元に置いている方は、差し替えが必要です。
高齢者福祉
| 資料 | 出しているところ | どんなときに |
|---|---|---|
| 市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について | 厚生労働省(令和8年3月改訂) | 国マニュアル。通報から対応までの手順、養護者支援の考え方 |
| 高齢者虐待防止(まとめページ) | 厚生労働省 | 国マニュアル、調査結果、研修資料の入口。改訂版はここから辿れます |
| 認知症施策推進基本計画 | 政府(令和6年12月閣議決定) | 認知症基本法にもとづく国の計画。地域の施策の背景がわかります |
| 認知症基本法に関する分かりやすい解説冊子 | 厚生労働省(令和8年3月改訂) | 認知症基本法の目的・基本理念や「新しい認知症観」をわかりやすく整理。制度の全体像をつかみたいとき |
| 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版) | 厚生労働省(令和7年3月) | 本人の意思をどう確かめ、支えるか。意思形成・意思表明・意思実現の支援プロセスや留意点を確認するとき |
発達障害・ひきこもり・女性支援
児童・障害・高齢の枠に収まりにくいけれど、福祉の現場でよく出てくるものです。
| 資料 | 出しているところ | どんなときに |
|---|---|---|
| 発達障害ナビポータル | 国立障害者リハビリテーションセンター・国立特別支援教育総合研究所(共同運用) | 本人・家族・支援者向けの情報が一か所にまとまっています |
| 発達障害情報・支援センター | 国立障害者リハビリテーションセンター | 制度、支援の方法、研修情報。専門職向けの資料も |
| ひきこもり支援に関する取組 | 厚生労働省 | 施策の全体像とひきこもり地域支援センターの位置づけ |
| ひきこもりVOICE STATION | 厚生労働省 | 当事者・家族に紹介できるポータル |
| 困難な問題を抱える女性への支援のため | 厚生労働省(令和5年告示) | 女性支援法にもとづく支援の考え方。女性相談支援センターとの連携に |
不登校の相談が、そのまま成人期のひきこもり支援につながることがあります。教育と福祉のあいだで話をするときに、この2つの制度の違いを知っておくと説明しやすくなります。
分野をまたぐもの:意思決定支援
意思決定支援のガイドラインは、障害・認知症・人生の最終段階・成年後見など、複数の分野にまたがって出されています。まず全体の関係を整理した資料から入ると、どれを見ればよいかがわかります。
| 資料 | 出しているところ | どんなときに |
|---|---|---|
| 5つのガイドラインの概要 | 厚生労働省(成年後見制度利用促進) | 「どのガイドラインを見ればいいのか」を整理したいとき |
| 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン | 厚生労働省(平成30年3月改訂) | 本人の意思が確かめにくくなる場面で。本体・解説編と、人生会議の普及資材が同じページにあります |
| 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン | 厚生労働省(令和元年6月通知) | 身元保証人がいないことを理由に入院を断れない、という前提のもとでの対応。医療機関との連携で使います |
司法・犯罪の分野
この分野は法務省・警察庁の所管が中心で、心理職が読む資料も医療や教育とは毛色が違います。
| 資料 | 出しているところ | どんなときに |
|---|---|---|
| 再犯防止推進計画 | 法務省 | 第二次計画(令和5年3月閣議決定)が現在の柱。矯正・更生保護の方向性を知る |
| 犯罪被害者等基本計画 | 警察庁 | 被害者支援の施策の全体像。第5次計画(令和8年3月17日閣議決定、令和8年度〜令和12年度)が現在の柱。第1次からの各計画のPDFがここにまとまっています |
| 法務少年支援センター(少年鑑別所) | 法務省 | 地域の相談先として。学校や福祉から紹介することもできます |
| 心神喪失者等医療観察法に係る各種ガイドライン | 厚生労働省 | 指定医療機関の運営や処遇の基準 |
| 心神喪失者等医療観察法(制度の概要) | 厚生労働省 | 制度の流れを確認したいとき |
| 更生保護(保護局) | 法務省 | 保護観察、更生保護施設、就労・住居の支援の仕組み |
| 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針 | 内閣府・国家公安委員会・法務省・厚生労働省(令和5年9月公布) | DV事案での対応の考え方。方針自体はこの版が現行ですが、DV防止法は令和7年12月にも改正されています |
| DV相談ナビ・DV相談+ | 内閣府男女共同参画局 | 相談先を案内するとき。全国共通の「#8008(はれれば)」で最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。DV相談+は24時間の電話相談とチャット相談 |
| 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター | 内閣府男女共同参画局 | 全国の窓口一覧。共通短縮番号「#8891(はやくワンストップ)」。一部のIP電話からは0120-8891-77 |
| こども性暴力防止法(日本版DBS) | こども家庭庁 | 2026年12月25日施行。学校や事業者の対応、施行ガイドライン |
法務少年支援センターは、心理職が意外と知らない資源です。非行や問題行動に関する相談に、少年鑑別所の専門知識を使って応じる仕組みで、本人や家族、学校、福祉機関からの相談を受けています。教育・福祉の現場にいる人ほど、覚えておくと紹介先が一つ増えます。令和8年12月にはこども性暴力防止法が施行されます。こちらも要チェックです。
産業・労働の分野
この分野は、厚生労働省のポータルサイトが充実しています。まずは入口を押さえるのが早道です。
まずここから
| 資料 | 出しているところ | どんなときに |
|---|---|---|
| こころの耳 | 厚生労働省 | 働く人のメンタルヘルスのポータル。指針、事例、相談窓口、研修教材までここに集まっています |
制度と指針など
| 資料 | 出しているところ | どんなときに |
|---|---|---|
| 労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針) | 厚生労働省 | 職場のメンタルヘルス対策の基本。4つのケアの枠組み |
| 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き | 厚生労働省 | 復職支援の5つのステップ。産業医・人事との共通言語に |
| ストレスチェック制度 | 厚生労働省 | 制度の入口 |
| ストレスチェック制度実施マニュアル | 厚生労働省 | 実施者として関わるとき。集団分析の扱いもここに |
| 小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル | 厚生労働省(令和8年2月公表) | 50人未満の事業場向け。義務化に備えて |
| 治療と就業の両立支援指針 | 厚生労働省(令和8年厚生労働省告示第28号) | 令和8年4月1日から事業主の努力義務。病気を抱えながら働く人への就業上の配慮と支援の進め方 |
| 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン | 厚生労働省(令和6年3月版) | 指針の土台になった資料。疾患別の留意事項など詳しい記述が残っています |
| 治療と仕事の両立支援ナビ | 厚生労働省 | 様式や事例。事業所に渡す資料を探すとき |
| 職場におけるハラスメントの防止のために | 厚生労働省 | パワハラ・セクハラ等の指針と、事業主に求められる措置。令和8年10月1日からカスハラ対策も義務に |
| 心理的負荷による精神障害の労災認定基準 | 厚生労働省(令和5年9月改正) | 何が「強い心理的負荷」とされるのか。休職や労災の相談を受けるとき |
| 産業保健総合支援センター(さんぽセンター) | 労働者健康安全機構 | 各県にある支援機関。研修や専門的な相談の窓口 |
| 地域産業保健センター(地さんぽ) | 厚生労働省 | 50人未満の事業場が無料で使える窓口。紹介先として |
| 障害者雇用対策(障害者差別禁止指針・合理的配慮指針) | 厚生労働省 | 職場で何が差別にあたるのか、どこまでの配慮が求められるのか |
| 地域障害者職業センター | 高齢・障害・求職者雇用支援機構 | リワーク支援、職業リハビリテーション、事業主への助言 |
ストレスチェックは、令和7年5月に公布された改正労働安全衛生法により、労働者数50人未満の事業場にも義務化されます。施行日は政令で令和10年4月1日と定められ、令和8年6月10日の官報に掲載されました。小規模事業場向けのマニュアルもすでに公表されているので、今のうちに目を通しておくと動きやすくなります。
治療と就業の両立支援は、令和8年4月1日から事業主の努力義務になりました。令和8年2月10日に告示された治療と就業の両立支援指針(令和8年厚生労働省告示第28号)が、労働施策総合推進法第27条の3に基づく根拠となります。従来のガイドラインで示されてきた考え方を踏まえ、法に基づく指針として整理されたものです。主治医との情報のやり取りや、就業上の措置の検討に心理職が関わる場面が出てきます。
カスタマーハラスメントについては、令和7年6月11日公布の改正労働施策総合推進法により、令和8年10月1日から事業主の措置義務になります。指針(令和8年厚生労働省告示第51号)は令和8年2月26日に告示されました。同じ日から求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策も義務化されます。企業規模を問わず事業主に対応が求められ、中小企業の猶予期間はありません。相談窓口の整備が求められるため、心理職に声がかかる場面が増える可能性があります。
最近の動きと、これからの予定(2026年9月時点)
この3分野は変化が速い領域です。ここ数年の動きと、これから施行されるものを並べておきます。
| いつ | 何が |
|---|---|
| 令和6年12月 | 認知症施策推進基本計画が閣議決定 |
| 令和7年3月 | 高齢者虐待の国マニュアルが改訂 |
| 令和7年5月 | 改正労働安全衛生法が公布(50人未満の事業場のストレスチェック義務化。施行は令和10年4月1日) |
| 令和7年12月 | こども虐待対応の手引きが全面改正(名称も変更) |
| 令和7年12月 | DV防止法の改正が施行(12月30日。GPS機器に加え、紛失防止タグ等による位置情報の取得も接近禁止命令の対象に追加) |
| 令和8年2月 | 小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアルが公表 |
| 令和8年2月 | 治療と就業の両立支援指針が告示(厚生労働省告示第28号) |
| 令和8年2月 | カスハラ・求職者セクハラの防止指針が告示 |
| 令和8年3月 | 高齢者虐待の国マニュアルが再改訂 |
| 令和8年3月 | 第5次犯罪被害者等基本計画が閣議決定 |
| 令和8年4月 | 治療と就業の両立支援が事業主の努力義務に |
| 令和8年6月 | 50人未満の事業場へのストレスチェック義務化の施行日が令和10年4月1日に決定 |
| 令和8年6月 | 集団分析の実施方法について労働安全衛生規則を改正(施行は令和9年4月1日) |
| 令和8年9月 | 障害福祉サービス等の意思決定支援ガイドラインが第2版に |
| 令和8年10月 | カスタマーハラスメント・求職者セクハラ対策が事業主の義務に |
| 令和8年12月 | こども性暴力防止法が施行 |
| 令和9年4月 | 集団分析に関する労働安全衛生規則の改正が施行 |
| 令和10年4月 | 50人未満の事業場でストレスチェックが義務化 |
まとめ
- 福祉では、児童・障害・高齢など領域ごとに関係する制度や資料が異なる。あわせて、発達障害・ひきこもり・女性支援など、複数領域にまたがる資料も押さえる。
- 意思決定支援のガイドラインは複数あるので、整理した資料から入ると早い。
- 司法・犯罪は法務省と警察庁に内閣府が加わる。法務少年支援センター、ワンストップ支援センター、DV相談ナビは紹介先としても覚えておく。
- 産業・労働は「こころの耳」から。労災認定基準や、さんぽセンター・地域障害者職業センターなどの紹介先も押さえる。
- 3分野とも改訂が多い。できるだけPDFではなく、まとめページや発出元の案内ページをブックマークする。
- 令和8年は特に動きが大きい。治療と就業の両立支援の努力義務化(4月)、意思決定支援ガイドラインの第2版(9月)、カスハラ対策の義務化(10月)。手元の資料が古くなっていないか確認する。
前回の医療・教育編とあわせると、5分野の主な資料が一通りそろいます。
「あれ、どこに載ってた?」心理職のためのガイドライン・資料集
(リンクは2026年9月時点で公開を確認したものです。改訂や移設により、リンク先が変わることがあります)
