高校生向け

心理学に関連した探究活動:テーマ設定から発表までの5ステップ

gumix

― 「人の心ってどうして?」という疑問からはじめよう ―
心理学に関連した探究活動は、日常の中で感じる「なぜ?」という疑問を出発点に、
人の心や行動のしくみを自分なりに調べ、考え、まとめていく学びです。
この5つのステップを意識することで、探究をより深く、そして楽しく進めることができます。

Step 1 関心を見つける

探究の出発点は「気になること」を見つけること。まずは、自分が「気になる」「もっと知りたい」と思うことを書き出してみましょう。
・なぜSNSの「いいね」が気になるのか?
・どうしてやる気が続かないときがあるのか?
・友だちとの関係で気をつかいすぎてしまうのはなぜ?

このような日常の“ふしぎ”が、心理学的な探究テーマのタネになります。
「自分の体験から生まれた関心」を大切にしましょう。

Step 2 問いを立てる

次に、「どうして?」「なにが関係しているの?」と問いに変えてみます。
良い問いは、“なぜ”や“どのように”を含んでいるもの。
たとえば「なぜ人はSNSで比べてしまうのか?」など、答えが一つではない問いを立ててみましょう。心理学では、原因・影響・違い・変化を意識して問いを立てると、より深い探究につながります。

心理学専門家からのプチアドバイス

問いを立てるときは、「変数(要因)」を意識してみましょう。
心理学の研究では、“○○が△△に影響を与えるのではないか”
という形で問いを考えます。
たとえば「SNSの使用時間(○○)が睡眠の質(△△)に関係しているのでは?」というようになります。

Step 3 調べる

問いが決まったら、いよいよ情報を集めて確かめていきます。
心理学の探究では、「客観的に」「ていねいに」調べることが大切です。

まずは、本や信頼できるウェブサイトなどで理論や研究の背景を知りましょう。
たとえば「やる気」なら「自己決定理論」や「報酬の心理学」などの言葉を調べることで、同じテーマを扱った先行研究を見つけやすくなります。
Google ScholarCiNii(サイニィ)などの学術検索サイトを使うのもおすすめです。次に、データを集める方法を考えます。アンケート、実験、インタビュー、観察など、方法はいくつかあります。

心理学専門家からのプチアドバイス

アンケートをつくるときは、「数値」で表す工夫をしてみましょう。
たとえば、「とてもそう思う(5)〜まったくそう思わない(1)」
のように、5段階で答えてもらう形式を使うと、後で平均や傾向を分析できます。
また、心を測るための「確かなものさし(=心理尺度)」を使うとより専門的になります。
心理尺度は、心理学の研究で信頼性が確かめられた質問セットです。
大学の図書館では、多くの場合、学外の人も利用できます。地元の大学に訪れてみてはいかがでしょうか。事前に依頼をすることで大学の教員が相談にのってくれることもあります(私は随時受け付けています)。
心理学の専門書や尺度集を手に取ってみると、探究がぐっと広がります。

Step 4 まとめる・伝える

集めた情報を整理し、自分の考えをまとめてみましょう。
図やグラフを使ったり、ポスターやスライドにまとめましょう。
人に伝えることで、新たな気づきや次の問いが生まれます。

Step 5 ふりかえる

最後に、「調べてわかったこと」「まだ分からないこと」「次に調べたいこと」をふりかえります。探究はここで終わりではなく、次のテーマにつながる学びの連続です。
心理学の研究と同じように、問いを繰り返すことで自分の理解が深まっていきます。

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公認心理師ドットコム
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大学教員/公認心理師/臨床心理士/ペンギン本ファミリーの一員。 2017年より公認心理師を目指す人のための情報サイト「公認心理師ドットコム」を運営しています。当初は試験対策に役立つ内容がメインでしたが、今後は公認心理師を目指す高校生から現役公認心理師まで、各ステージに役立つ情報をお届けします。
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